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【過去問解説】令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A【韻律】2021

スポンサーリンクLINE友だち募集中!はまをフォローする令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Aの正答率「喉頭」の意味を図でわかりやすく【読み方は?】 (1)の解き方【声帯に最も近い調音点】(2)の解き方【韻律的特徴を表現する表記体系】(3)の解き方【東京方言のアクセント】(4)の解き方プロミネンスとフォーカスの違いとは?フォーカスなのかプロミネンスなのか参考になりそうな文献統語構造とは?統語構造の具体例範列関係とは?範列関係の具体例(5)の解き方令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Aと問題3Bのポイントを動画で見る 令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Aの正答率

大切な問題とやらなくていい問題を知るために正答率を分析している動画はこの記事の一番下にあります。

スポンサーリンク「喉頭」の意味を図でわかりやすく【読み方は?】

問題文に「韻律は、主に喉頭によって調整される」とありますが

喉頭はどこでしょうか? 下の図から探してください。

喉頭とは、咽頭と気管の間の部分。喉頭の読み方は「コウトウ」。咽頭の読み方は「イントウ」

図1頭頸部の構造の図国立がん研究センター「かん情報サービス」より スポンサーリンク(1)の解き方【声帯に最も近い調音点】図1頭頸部の構造の図国立がん研究センター「かん情報サービス」より

上の図の通り、声帯に最も近い調音点は声門です。

東外大言語モジュールもわかりやすいです。問題1(1)も東外大言語モジュールの子音調音点の表を見ればすぐわかります。

東外大言語モジュールは子音や母音の実際の音が聞けるのでおすすめです。

調音点が声門なのは例えば[h]です。

日本語のハヘホの音です。

よって、答えは1

スポンサーリンク(2)の解き方【韻律的特徴を表現する表記体系】

韻律とは、音の強弱・長短・高低、同じ音や似た音の反復などによって作り出される言葉のリズム。

例:「俺は東京生まれヒップホップ育ち。悪そうなやつは大体友だち」

韻律について詳しくは下の記事をどうぞ

プロソディーとは【日本語教育能力検定試験の対策】プロソディーの意味 プロソディーとは、音をまとめて考えること。韻律(いんりつ)とも(令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問...www.hamasensei.com2021.07.28

韻律的特徴とは、アクセント、プロミネンス、イントネーション、ポーズなど試験Ⅱ問題3で問われていることです。

つまり「韻律的特徴を表現する表記体系」とは、「音の強弱・長短・高低、同じ音や似た音の反復など」を表現する表記体系のことです。

1英語のアルファベット

A,B,C,D…

アルファベットを見ても音の強弱・長短・高低(アクセント)等はわかりません。単語になってはじめて分かります。

2韓国語のハングル

ハングル文字だけを見ても音の強弱・長短・高低等はわかりません。

3中国語のピンイン

中国語は漢字で表記されますが,漢字を見ただけではその発音はわかりません。そこで発音を表すために“汉语拼音方案 Hànyǔ Pīnyīn Fāng’àn”という,ラテン字母(vは用いずüが追加されている)用いたローマ字表記システムが用いられています。「はじめに」で掲げた漢字テキストの後に付したのがこのシステムによる発音表記です。このシステムは日本ではよく「ピンイン」と呼び習わされています。中国語の発音を学ぶにはまずこのピンインの発音の仕方を知ることから始めます。

東京外国語大学言語モジュール

「ピンイン」を見ると,ラテン字母の他に,母音字の上にˉˊˇˋ等の符号が付いているのに気がつくでしょう。これは「声調」を表す符号です。声調とは一種の高低アクセントですが,中国語の声調は,一つの音節の中で声の高さが上がったり下がったり,あるいは平らなままでいたりするものです。

東京外国語大学言語モジュール

上記引用のとおり、中国語のピンインは、高低アクセントを表現していると言えます。音の高低がわかります。

4日本語の平仮名

あ、い、う、え、お…

平仮名を見ても音の強弱・長短・高低等は分かりません。単語になってはじめてわかります。

よって、答えは3

この問題の正答率は61%と低いですが、韻律(プロソディー)は毎年問われることなので、この問題は理解してできるようにしたい。

スポンサーリンク(3)の解き方【東京方言のアクセント】

選択肢1

複合語のアクセントは、後部要素のアクセント型に大きく影響されます(平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A(4)選択肢2参照)。

詳しくは、NHKアクセント辞典『複合名詞の発音とアクセント』を見てください。

以前動画でも紹介していますので覚えていない方はどうぞ。

選択肢2

試験Ⅱ問題3を見ればわかりますが、上がり目ではなく下がり目が重要です。

音の上がり目は「各語の特徴として本質的なものではない」「自然な音調で発音できるようにするためにはむしろ示すべきではない」との考えから示さないことにした。

18年ぶりの改訂で誕生『NHK 日本語発音アクセント新辞典』より

選択肢3

動詞・形容詞の終止形のアクセント型は、名詞のアクセントの型より数が少ないです。

動詞・形容詞のアクセントのパターンは、特殊なものを除いて、「平板型」か、あるいは「中高型(2拍語の場合は頭高型)」のどちらかであると考えてよい

NHKアクセント辞典「動詞・形容詞のアクセントをめぐる状況」より

形容詞の辞書形では、全体としてもともと中高型を基本とするものが多く、平板型は少数派である。そしてこの平板型はさらに勢力を弱めており、「形容詞の辞書形はおおむね中高型」というような状況に向かいつつある。

NHKアクセント辞典「動詞・形容詞のアクセントをめぐる状況」より

辞書形は終止形と同じです。

上記引用のとおり

動詞・形容詞の終止形のアクセント型は「平板型」か「中高型」

名詞のアクセント型には「平板型」「尾高型」「中高型」「頭高型」があります。

詳しくはアクセントの動画を見てください。

選択肢4

4拍語の名詞で最も多いのは、平板型アクセントです(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p492参照)。

先行研究では、漢語の3拍語の一部と4拍語、また外来語の4拍語を中心として平板化が進みつつあることが分かっている。一方、用言では起伏化が進んでいる。つまり、和語・漢語・外来語といった”体言“では「平板化」が進んでおり、その反対に動詞・形容詞といった”用言”では「起伏化」が進んでいるという構図が確認できる。

NHKアクセント辞典「和語のアクセントの現況」より

名詞は体言です。

よって、答えは4

類似の出題が平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A(4)にありますので見ておいてください。

この問題は細かい知識なので間違えてOK。正答率も41%と低いです。

スポンサーリンク(4)の解き方

語と語の修飾・被修飾といえば統語構造です。

プロミネンスなのかフォーカスなのか。

それが問題です。

私は試験Ⅱ問題3のことを思い出し

プロミネンス=話し手が伝えたい情報

よって、本試験では答えを1としました。

ですが下記の論文を見てください。

プロミネンスとフォーカスの関係について、加野(1996)、郡(1989b)、宇津木(2004)、窪薗(2008)をまとめると、「フォーカス」は「話し手の一番伝えたい部分」という意味論上の概念であり、これに対して「プロミネンス」は「フォーカス」を表現する一種の発音法であるということが分かった。韻律的特徴という概念について、本研究で使用する「韻律的特徴」は郡(2011)の定義に従い、その中から音の高さ、長さ、強さ、ポーズの特徴を取り上げて分析する。

中国語母語話者によるフォーカス発音の韻律的特徴と意図伝達に影響する要因より

フォーカスに関わる音声学の諸概念を概観した。「フォーカス」の定義に関して、郡(1997)と窪薗(2008)の研究に基づき、本研究の中では「話し手が聞き手に対して情報伝達の最も伝えたい内容」と定義する。

中国語母語話者によるフォーカス発音の韻律的特徴と意図伝達に影響する要因より

上記論文によると

フォーカスとは、話し手が聞き手に対して情報伝達の最も伝えたい内容のこと。

プロミネンスとは、「話し手の一番伝えたい部分」を表現する一種の発音法。

という違いがあります。

国語辞典でも調べました。

プロミネンスとは、文中のある語句を強調するために、特に強く発音すること(スーパー大辞林3.0より)

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